労働安全衛生マネージメントシステム

おやじがいない

労働災害は休業4日以上の死傷者数・死亡者数ともに減少してはいるが、その減少率は鈍化しゼロ達成は困難な状況になっている。多発した労働災害を分析し再発防止対策を行った「過去の災害に学ぶ」という今までのやり方はなじまない状況になってきた。新しいリスクが出現し、習うべき労働災害の発生が減少し、伝えるべき経験を積んだベテランが少なくなっているからである。

穴のたぬきを燻し出せ

災害がほとんど発生しない事業場でも危険性がないとは言い切れない。ゼロにならないのは危険有害要因が潜在し、労働災害の発生を狙っているからである。この危険性を掘り起こし事前に摘み取ることが、災害ゼロから危険ゼロへの道である。

みんなで燻そう

今までに安全衛生パトロール、安全衛生診断、KY活動など経験的手法があるが、ここでは体系的、論理的に実施するリスクアセスメントという手法を取っている。法規制や監督などの従来型安全衛生対策が限界であり、現場の自主的な対応のほうが実効的であるという見地から、現場の労働者の意見を反映させ、協力を得て、事業場全体として推し進めるべきものとする。したがって誰がいつ何処で関与しても理解し実行できるように各段階で記録しておくことが重要である。

リスクアセスメント

まず職場の作業、機械、設備や環境に存在する危険有害要因(ハザード)を洗い出す。ついでそのハザード全てについててについて危険有害性(リスク)の見積もりを行う。見積もりの方法は、実施者によって多種多様であるが、有害要因によるけがや健康障害が起こる可能性と発生した被害の重大性の組み合わせで評価するのが多い。例えば、希に起こる些細な危害は些細なリスクとしてリスクレベルを低く見積もり、頻繁に起こる重大な危害は容認できないリスクとしてリスクレベルは最高とする。見積もった個々の危険有害要因のうち許容可能なリスクであれば記録に残しておき、リスクの除去又は低減対策が必要なものには優先順位をつける。

PDCAサイクル

優先順位にしたがい具体的な安全衛生目標を設定し安全衛生計画を作成し(Plan:計画)、実施運用する(Do:実施)。この運用を日常的に点検し(Check:評価)、見直す(Action:改善)というサイクルを連続的に回して、さらに進んだ新しい計画をつくり継続的な改善(spiral up)を目指すというという手法である。

国際標準

企業の国際化のなか出来てくるとおもわれるが、現在では、企業の特異性からたくさんのシステムが出来てきつつあり、それぞれ評価されているところである。システムを作ることが目的ではなく、安全衛生の改善が目標であることを忘れてはならない。

OSHMS

Occupational Safety and Health Management System

正確に、細密に知りたい方は鹿児島産業保健推進センター(電話:099-223-8100)へ。

written by
鹿児島産業保健推進センター基幹相談員 橋口 良紘

鹿児島県医師会報 平成15年8月号から転載
–「産業保健の話題」第25回

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